% 表題   AGCM5 第2部 離散化 スペクトルモデルと差分モデル
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% 履歴
\Drireki{91/12/23 保坂征宏}

\section{スペクトルモデルと差分モデル}

   世の中の多くの GCM の離散化の方法としては, 
   鉛直方向については必ず
   レベルと称する差分による離散化を行なうが, 
   水平方向については, 
   差分する方法（この方法を用いるモデルをグリッドモデルという）と
   球面調和函数で展開してその係数の時間変化を計算する方法
   （力学過程において\footnotemark この方法を用いるモデルを
     スペクトルモデルという）と
          \footnotetext{
              adjustment 等の意味をなど考えると, 
              特に物理過程においては, 
              格子点で考える方が物理的に当然であるように思う. 
              そのためであろうか, 
              スペクトルモデルである東大版GCM でも
              物理過程を格子点で計算している. 
              他のスペクトルモデルについても
              そうであるかどうかは未調査.}
   が用いられる. 
   その二つの方法については一長一短がある. 
   ここでは双方の特徴について列挙しておく\footnotemark . 
          \footnotetext{
                   出典は,  
                   {\bf スペクトル法による数値予報（その原理と実際）} 
                   （1.6） }

   \begin{itemize}
     \item スペクトルモデルには水平空間差分の誤差がない. 
           これが位相の遅れがないことに通じる（らしい）. 
     \item もっとも, 
           グリッド間隔 1.875度（波数63相当）以上では, 
           格子点モデルでの差分誤差も十分小さくなり, 
           ほぼ等しい性能といえる. 
     \item 極は特異点であり, 単純には扱えない\footnotemark .
            \footnotetext{
                  問題点その１.
                  グリッドモデルでは
                  緯度経度図で等間隔に格子点をとると, 
                  極でも CFL を満たすようにするために, 
                  時間差分を細かくしなければならない.
                  他は未調査. }
           スペクトルモデルでは
           うまく関数系を選ぶことで困難を回避できる. 
           格子点法では数値的な技巧が必要である（らしい）. 
     \item 保存量を作ることは
           出力結果の解釈に使いやすいという物理的な理由と, 
           数値的な発散をおさえやすいという数値的な理由とにより
           奨励される. 
           格子点モデルの場合, 
           技巧を用いることで保存を維持できる. 
           スペクトルモデルの場合, 
           さほどの技巧を用いることなく保存を維持できる. 
     \item 格子点モデルには非線形不安定がある（aliasing）. 
     \item スペクトルモデルの方が, 
           空間微分を含まないだけプログラムが簡単になる.
     \item スペクトル法はグリッド法よりも境界条件の点で柔軟でない. 
     \item スペクトルモデルはグリッドモデルに比べて
           水蒸気等の局地的な現象の表現には適さないといわれる. 
           もっとも, グリッドのあらい格子点モデルでは
           スペクトルモデルに比べてさして優れているとはいえない. 
     \item スペクトルモデルでは一点の影響が
           （本来は影響が及ばない）遠く離れた点にも与えられてしまう. 
     \item FFT を用いると, 
           少なくともある程度の解像度までは, 
           スペクトルモデルの方が格子点モデルよりも速い（らしい）. 
   \end{itemize}

   ちなみに, 東大版はスペクトルモデルに分類される. 

